鳥倉から塩見岳を歩く予定があって、それだけだと勿体無いので分杭峠まで行ってみた。という経緯でこうなりました。
色々繋げたい尾根はあったんだけど、日程的に1番短かい分杭峠をチョイスした。
日程 : 2025/6/26〜27 1泊2日
行程 : 鳥倉ゲート〜塩見岳〜分杭峠
1日目 6/26
曇りのち昼過ぎから雨風強く一時雷
鳥倉ゲート12:00---三伏峠15:30---本谷山16:50---塩見小屋18:00(泊)
2日目 6/27
風強く濃霧のち曇り、晴れ
塩見小屋3:30---塩見岳4:40.50---本谷山少し手前7:30---小黒山9:20.35---樺山11:00---入山12:30.40---笹山13:30---天空の池14:00.15---二児山西峰15:20---葉沢反射板ピーク17:00.10---入野谷山18:00---分杭峠18:40
予定では26の夜中に伊那から高遠まで歩いてバスで分杭峠へ、27に鳥倉へ抜けて28の朝までに歌舞伎の里まで降りてバスで伊那大島駅へ、電車で飯田駅へ、歩いて10分のローソンに10時の待ち合わせに合流する予定だった。よっしゃー!と思って山の師匠に報告したら、ちょうど飯田にいるとのことでお助けしていただけることに...いつもいつも本当に感謝しかない。
ありがたく松川インターで合流し、分杭峠からじゃ明日までに辿り着かなくない?ってなり師匠の助言を受けて下調べゼロの逆ルートにした。変わることは、泊まる場所だ。元々の予定だと笹山の休憩小屋だった。その後は藪になるし今回はツエルトだけで行った。逆になると、恐らく塩見小屋が妥当。知ってる人だから大丈夫だと言うけど不安はよぎる。
結果から記すと、塩見小屋はこの時ちょうど小屋開けの準備で冬期スペース開放を停止していたようだった。ホームページは見たけど、最新のページじゃないものを見ていたようだった。本当は使えません。本当は...
さて旅は始まり、鳥倉ゲートまで送っていただき、明日の日が暮れる頃に分杭峠に行く約束をした。明日の夜はくら寿司のちいかわフェアに行くからそれまでに降りてきて、とのことだった。明日の本谷山からずっとちいかわが頭をちらちらするとはこの時は思いもしていなかった。もう、ずっとちいかわだった。
"焼けたパンにバタァぬりぬりぃ〜...ひとりっごつぅ〜"

駐車場には車4台。三伏峠までに全員すれ違った。コルのあたりで雷雨になり、三伏峠小屋まで激しい雨と雷。こんな雨ほんとに久々ってくらいのゲリラだった。身も心も削られるほどヤワなわけはなく、雷の止んだ頃に森林限界付近へ。とにかく寒かった。

景色抜群のはずの三伏山は真っ白で寒かった。

土砂降りの中かろうじて塩見岳の裾が見えた。

稜線は風強く雨強し。雷止んだだけマシだ。
実は今回、塩見岳には下見で来たんだけど、何も見えず何も下見になってるのか全く不明で、もう自分の命の方が大事になってとにかく塩見小屋を目指して歩みを進めた。寒かった記憶しかない。師匠は6時間でいけるって言ってたので、これはもう6時間で着けるくらいじゃないとってことだと思ってこの天気でも頑張った。
小屋番さんがいるかわからずだったけど、着いたらどうやら明かりがついているので、いるらしい。しかし...ヘリの荷上げがあるから冬期スペースは開放していないとのことだった。(おい師匠!師匠の満面の笑みがちらほら浮かび上がった)...ちーん...少し戻ってツエルト張るしかないと思ったけど、ご厚意で使わせていただけることになった。後日、カステラを持って改めてお礼に行きまして、師匠の弟子でして、あの後予定通り分杭峠まで行けまして感謝しています、と話したら、あーそんな人いたなぁ〜と話してくれて状況的に激おこでもおかしくなかったけど、人の良さを心の底から感じた。塩見岳が、また一層好きになった。
ありがたく使わせていただき、濡れた服...寒すぎて長袖も着たので全着替えで上着を羽織って暖をとった。迷惑をかけないように早朝出発することを約束し、ぐっすり眠った。
翌朝、塩見岳へ。浮かび上がるイワベンケイ。一生片想いのイワベンケイさま。山頂付近は高山植物が綺麗に咲いていた。
塩見岳山頂5時前。思ってたんとちゃう。なんも見えないじゃんか!爆風の中、今にも走り出しそうなポーズで記念撮影。もちろん誰もいない。今日の行程は長いので山頂を楽しむ余裕などなく即下山。途中に置いてきたストックとザックを回収して本谷山方面へ戻る。
塩見岳から本谷山へ向かい、本谷山の少し手前の斜面から入ることにした。昨日ここを通過した際に視界が晴れたので尾根へ合流しやすそうな地点を見つけていた。本谷山はハイマツに閉ざされているので、ダケカンバ帯のここら辺から入ることにした。割と正解だと思うんだけど、どうなのかな?水1リッターデポしていたので回収し、出発。
視界が全くないので地図とコンパスに頼るしかなかったけど、大きな尾根に合流するまでが割とだった。何がって、地形図に載らない小刻みな地形が多くて視界がないとそれが尾根かどうか確信は持てなかった。その先に崖がない限りひたすらコンパスの指す方向に進み続けた。なお、踏み跡多少はあったけど人なのか獣なのかは若干怪しいところだ。踏み跡を頼って進んで無数に散らばる獣道に導かれてしまったことは過去何度かある。その経験から、踏み跡は信じないことにしている。
こんな感じの森を気持ちよく進みます。
ええ、とても爽快そのものでした。
トレランシューズは沢登り並みに臭くなり、翌日人様のお家でありがたく手洗いさせていただきました。それほど、山にまみれて心の底から幸せ。
こんな感じ。こーゆう山歩きが好きなんだよなーって1人で語り合いながら(誰とは聞かないで。)満たされてゆく心の温度を感じつつ(気温が上がっただけじゃないから。)とにかくひたすらコンパスを向け続けて進む。たまに地図を見ると、びっくりするくらい自分がまだ分杭峠へ程遠い地点にいることを知り、若干の絶望感が漂い始める。こんなに頑張ってるのに先が長すぎてちいかわが怪しくなってきた。
ここを降ったけど登りたくはない。全体で見たら下りなんだけど、なんだかんだアップダウンのある尾根だったので、藪歩きルーファイ込みで北上も南下も大した時間変わらないのでは?と思ったりもしたが、逆ルートの5時間って全く参考にならないなぁってこの類の山域の人たちの異常さを改めて痛感した。GWもそうだったけど、今回もこの界隈の自分の体力のなさを思い知った。強い人しかおらんこの世界。
尾根がはっきりしてきて歩きやすくなり、と共に、これ以上藪とか出てきたら今日中には着かないなと本気で思えてきた。そんな頃に樺山に到着。ほんとに遠い。この看板の人たちと友達になりたいって思いながら藪山の空気にめいっぱいの幸せを感じた。
晴れてきたので苔も綺麗。変な崖みたいなところを降りてる時に見つけた苔だから、よく覚えてる。
視界が開けたーー!!!!!
なにこの爽快感。
多分この景色独り占め。
独占配信まっしぐら!
こういうタイミングで1人ライブをするんだけども、万が一にも人が現れたらめちゃくちゃ恥ずかしいよね。だからなんでもできるように練習しとこ。
遥か遠くにあった念願の入山に到着。もう少し巻けると思っていたがために、時間かかりすぎて絶望感しかなかった。この先も藪があるのだろうかと思ったけど、どうやらこの下りで落ち着いたようだった。師匠に、もう着かないかもしれないと連絡する余裕もなく歩き続けたのにだ...笑
気持ち良い笹原が広がった。笹の丈は低く、歩きやすかった。
やっとのことで笹山に到着。ほんと、笹。
少し先に小屋があった。本来昨日泊まろうとしていた小屋だ。快適そうだったので、今後も使えるように維持できたらいいな。水場は、この先のもうひとつの小屋の側に流れる水かな。それ以外、水は全くなかった。
林道という雰囲気の車幅。
天空の池到着。
ここも来たかったんだよなぁ〜
気持ちよくてひと呼吸ついた。
二児山はハイキングルートと書かれていたけど、普通のハイキングルートではなくて、一般登山道よりも歩きにくく(何か間違えた?)、色々疑った。時間がなかったので2つピークは踏めず、一人っ子。
ひたすら北上することにした。
この斜面に鹿が100以上はいて、大音量でアニメ流して歌いながら歩いてたら一気に散ってしまった。こういう山を歩くときはいつも騒がしくしてるんです。動物さまたちとの共存のために。でもこれだけ鹿がいると、やっぱり笹があんだけ低いわけだ。
道は踏み跡があるけどない箇所もあって、基本的にはコンパスで歩いていた。1箇所直角に曲がるところがあったような気がする。ちいかわに追われてとにかく歩き続けた。こんなに必死に歩き続けたのは初めてかもしれない。
待て、かなり長いぞこの先も!と地図を見るたびに思い、なんとか時間の読める反射板まで到着。ここで、師匠に到着時間を連絡して後はひたすら走る。
ここぞ本当のハイキングルートのようで、道は鮮明で走りやすくなってきた。中央アルプスも綺麗に見えるようだ。この日は雲の中。それでも、なんだか神秘的な風景に癒されて優雅に歩いた。
今回の相棒たちと最後の山、入野谷山。これは本当のハイキングだ。最後はとても快適。全速力でダッシュした。...なんでこんなに元気なんだ?やっぱりゼロ磁場近いからか?体が軽くなるから?んなわけなかろうがぁ。いや私はそのパワー、信じてるよ。
最後ゲートを開け閉めして林道へ飛び出た。
熊には結局逢わなかったけど、いるところにはいるのだよ。あるところにはあるのだな。(猫猫風)わかる人いる?あの場面だよ!あーら猫猫いつの間に?
分杭峠に到着!
密かにずっと来てみたかった場所。
地球の偉大さと共にパワーを得たような気がした。
師匠がゲートで待っていてくれた。どうやら私、満面の笑みで山から戻ってきたようで。笑
何よりも約束した時間までに下山できてホッと。ひたすらコンパスの方向に進み続け果てしなく続く尾根、倒木、そんでもって全然進まない不思議な山。
ここから飯田のお風呂へ直行し、師匠と奥さんのちいかわ目当てでお寿司を食べに行った。
最高やないかいこのシチュエーション。
こんな感じで、地形図でまたひとつ魅力的な地形を歩き通せたことに満足感であります。
やっぱり、見えない未知の空間へ足を踏み入れる瞬間は極上のご褒美。人生に一度しかない瞬間。
また次も地図を眺めて行きたい場所を選ぼうかな。
もう計画はありますので次回もお楽しみにします!
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