2024-10-24

深南部横断(水窪〜黒法師岳〜鎌薙〜不動岳〜寸又峡)



深南部に行きたい、ということで待ちに待った3連休!では絶対に足りないので4連休にして深南部入り!

前回思いがけず青薙の崩壊地を通過してから、気になっていた鎌薙。崩壊しているらしいが記録はあるのでどうやら通過している人はいるらしい。頑張ればエスケープも可能らしいので、下調べはそこまでに。どんな崩壊地なのか、わくわく!

さて前後をどうするかで、車でないなら周回は勿体無い(学生の頃から抜けないドケチ根性...)、とすれば時刻表的に水窪駅から入るのが良さげ!林道歩きが短そうなダムの橋を渡る作戦!果たしてその橋は渡れるのかがまず核心!

せっかくだから不動岳までは行きたい。下山はどうするか!お立ち台まで行って、あわよくばそのまま大無間越えて田代まで降りよう!あの辺りで唯一廃吊橋ではない天地第一吊橋とは如何に!

という感じで話はまとまり(1人でね)、4日あればどうとでもエスケープできる感じで収まった。

結果的には大無間パートは諸々の理由で断念し、当初の予定通り左岸林道で寸又峡温泉へと下山した。物足りない感じかと思いきや、最後のインパクトが爆裂すぎてお腹いっぱいとなりました。

最低限だけ調べて、それ以上は調べすぎない。まさにその際ラインを沿った、現状の自分と今回のコンディションにはイイトコを突いたプランとなった。要は、安全な範囲の限界値であった。


2024/10/12〜15

10/11

新宿23:55=(夜行バス)=

10/12

豊川駅6:13=(飯田線)=水窪駅8:01.8:20---水窪ダム10:50---橋(登山口)11:45.12:00---麻布山17:00---前黒法師山18:00---打越峠18:50(幕)

10/13

打越峠4:50---バラ谷の頭7:10.35---水場汲み7:50〜8:15---黒法師岳9:20.40---丸盆岳12:00.20---鎌薙崩壊地14:00〜15---鎌薙岳14:40---鹿の平15:40(幕)

10/14

鹿の平7:40---不動岳8:25.45---上西河内渡渉点12:20.40---天地のコル13:45---天地第一吊橋14:20---日向林道出合15:00---(日向林道経由)---左岸林道出合16:10---おはぎりぼつ17:15(幕)

10/15

おはぎりぼつ6:00---朝日岳登山口7:45.55---寸又峡温泉8:20=(バス)=千頭駅=(バス)=家山駅=(大井川鐵道)=金谷駅


***** 0〜1日目 *****

まずは夜行バスで豊川駅へ。始発まで1時間あるのでコンビニで買い出しして、すき家で朝食。必要最低限をこなせるコンパクトなプランだ。


飯田線の始発列車へ乗り込む。

約2時間。遠い。ちなみに飯田から南下するよりこっちの方がアクセスがいい。いや、決してアクセスは良くないけど強いていうなら。

列車は2両。切符を買って乗車。ほぼ無人駅で改札もないから車掌さんが走り回っている。そんな景色を見ながら爆睡した。起きたら車掌さんが切符を見回りに来ていた。どうやら、乗客の降車駅を聞いて降りるときに回収に来るそうだ。新幹線の指定席みたいな仕組みだ。今の時代になってなおこのシステムなのはすごいレアだと思う。

水窪駅手前になると、車掌さんが切符を回収しにきてくれた。駅は無人。トイレはある。水は一応蛇口があった。自販機もあった。

準備をして、まずは水窪ダムを目指して出発!



水はどうしようかと思ったけど、結局駅から持参。途中のイロウの水は枯れていた。飲めませんって書いてあったけどダムのトイレの水道の水は出た。こんな歩くなら、ここでよかったんではないか。

まだ午前中ということもあり暑すぎず、でも長くて嫌気がさしてきた頃にダムに到着。橋に着く頃にはダウンロードしたアニメは結構いい感じに観ていた。

野鳥の森よりこっちの方が登山口まで近そうだったのでダムの上から入山を選んだが、急がば回れ。知ってたけど麻布山まで高低差が凄かった。

とりあえず、ダムマニアではないけど来ようと思わなければ来ることのないダム。

思ったより迫力は皆無だった。

一度駅から歩くという楽しみは満喫した。

ダムを過ぎてもう少し北に入った辺りに橋がある。実は渡れるか微妙だと思っていた、第一の確信。ここが渡れなかったら渡渉するか、戻るか、を考えていたが、渡渉できる水量ではなかった。渡れませんよ的なバリケードがあったけど、ごめん、使いました。正直ここで敗退ならそれはそれだとは覚悟していたのだ。


この4日間で、二度とここからは入山しないと心に誓った第1回目であった。何十年後までこの橋がもっているという確証はなさそうなサビ感。

無事対岸に渡り切り、途中で嫌になってきてグダグダ歩いてはきたけど、駅を出て3時間半。
やっと山歩きの始まりだ。

ここから麻布山までは、踏み跡はあるけど所々獣道が混ざり、分かりにくく斜度もあるので登りがきつかった。標高1200mくらいまでは、1分に1匹ヒルが付くくらいヒルがまだ活動していた。いつも通りズボンの裾をテーピングで巻いて防備。蜘蛛の巣も多かったので、やっぱりマイナールートかな?誰にも会わなかった。

10月半ばでまだヒルがウヨウヨいる。
きっとこれが安全。水無しで14キロちょい。初日は水場まで行けなさそうだったので4リッターは上げていた。重い。これで崩壊地歩けんのか?

木で作られた鳥居が現れた。

ザックが重いてゆうよりも、いちいち急登がすぎる。明確にトレースの箇所もあるし、獣道と混ざってトレースが分裂した箇所はペース上がらずキツかった。もう二度とここからは登りたくない。

メインルートと合流するあたりの廃墟。
うーん深南ぶってる!!

野鳥の森からのルートと合流。なにこれなにこれなんでこんな歩きやすそうなの!?ヒッチハイクできたんじゃない?てゆうくらいの行列が歩いてそうな道。こっちにすればよかった、と思うとともに、もう二度と今回の入山ルートは歩かないならば、今行っておいてよかったと強く感じた。

麻布山。この山は泊まれるね。

気持ち良くて夕日を拝みゆっくりしてしまった。
ここまで道がはっきりしてるなら大丈夫っしょ!と思い、前黒法師山か打越峠を今晩の宿と決めて進むことにした。それにしても、前回の南嶺で会った青年が同じ山域に来ているようだが、どこにいるんだろう。

そんなことを思いつつ、歩き続ける。

そして鹿の目が暗闇に浮かぶ時間となる。
もうバラ谷の方までなんて、寝不足だからもう無理!明日が今回の縦走の核心日となるのならば、今夜はもう休んで、明日に備える方がよかろう。ということで、地図を見てテントを張れそうな場所の目星をつけて峠を目指した。予定の行程どうなってんだよ!てゆう厳しいツッコミはナシで。何時間林道歩けば町に出られるのかは知らないけど一応エスケープも可能で、マックスの予定を立てていた。まだ明日のうちにお立ち台まで行ける望みはキラキラと持っていたのが、今思うとほっぺつねって夢から醒まさせてあげたいとは思う。

峠の手前にもふもふの気持ち良い広場みたいな空間があった。でも疲れのせいか、気が抜けたからなのか、踏み跡を外してしまって必死に地図を見ながら、峠を探した。そこらへんでヘッテンが1つ!あれが峠か?!誰かいるのか!?と思いつつも道なりはそっちへはゆかず、逸れてしまった。

峠の場所がわかったところで、その一段上の山側の平地のようなところにテントを張った。快適だった。後から分かったが、やはりこの時のヘッテンが青年だったようだ。まぁ、どこかにいるって思えただけでも、1人で歩いてて心強かったから、ありがとう。

明日はバラ谷で御来光を見て、明るくなって水場で補給し、午前中のうちに鎌薙すぎて、夕方にはお立ち台でのんびりウイスキーでも(...いやお酒は忘れたんだった)という計画だったが、やはり寝不足での初日で疲れてしまったので、少しゆっくり出発することにして、万全な状態で今回の主食である鎌薙崩れに挑むことに決めた。峠まで標高を落としたおかげで、寒くはなく快適な夜だった。


***** 2日目 *****


スーパーで買った安心米という五目ごはんと味噌汁の朝食。この日は美味しいと思えず、吐きそうになりながら喉の奥に押し込んだ。たぶんまだ下界の美味しい物の味が忘れられないんだな。

まだ暗いうちに出発。峠の上に2張り。後でバラ谷でこの2人には会うことができた。

明るくなり、御来光を見るという目標はあえなく失われた。そういえば4日間快晴だったのに御来光は見ていない。4日間の快晴で、いざ喜んでチャンス到来深南部!!!なんて奇声をあげていたわりにはだ。まぁ、深南部の醍醐味は全身で山を感じることだからさぁ〜(歩いてるうちに日昇ったとか、寒くてテントから出られなかったとか、山の反対から出てたとか、全部戦略的だから!深南部の御来光の写真取れなくて悔しがってなんか全然ないもん!)

バラ谷までは歩きやすく、疲れが残らないように計画的に足を進めた。バラ谷に到着すると、人がたくさんいるぅ!!!テントが1張り。
せっかく来たから写真を撮った。
なんかわくわく深南部の稜線に出たって感じ!


夜行バス寝不足からの水窪駅始発でダムの上の変な道経由で歩いてきて、ここでテント張ろうなんて100年早いのだよテカリンくん、、、てなわけでミステリー小説とアニメの見過ぎで今晩はうなされまたもや睡眠不足となるとも知らずに。


富士山と深南部の山々があたり一面。ここからは笹藪のようだ。ずっと奥に目指すべき不動岳が見えたが、思ったより遠そう。そっから今日中にお立ち台に降りて水上げて2日で大無間小無間を越えるのは現実的ではなさそうだ。しかしこの時はまだお立ち台まで行く気満々だった。


バラ谷ではテントを張っていた方と、峠の少し上でテントを張っていた方々にお会いした。なんかみんな知り合いのような感じ?で、色々と話していた。少し聞いているうちに静岡の人っぽい話口調で、荒川小屋で働いていた時を思い出し懐かしく感じてしまい、つい会話に加えさせてもらった。どこに行くかの話をしたら、鎌薙通るってこと!?となり、かなり怖かったとビビらされる。まぁまぁ、そこはなんとかするとして、寸又峡〜夢の吊り橋間での崩落でまだ通行止めのようだ。地図を見て談義。なるほど、千頭ダムから右岸林道で寸又峡には下山できないということらしい。ダムから寸又峡に下山するにしても、元々お立ち台まで登り返して左岸林道経由で歩く予定だったから問題はなさそうだ。7月の左岸林道でお立ち台までの間に無くしたピンクのタオルを探したいっていうのもあったので、大無間越えを却下したらやはり当初の予定通りにしようと思えた。でも電波の入らない4日間で、この情報はありがたかった。ここで、若者集団が上がってきた。青年と会えなかったので、そのことも話し、みなさんに別れを告げていざ笹藪へ!!


暫く下るとありがたき水場。
ホースで汲みやすくしてくれていたけど、沢の水量もまぁまぁあり、冬も生きてるのかはわからないけど心強い。冬ここで水汲めなかったら結構大変だなぁ。もうこの沢を下降するしかないのかな



バラ谷からはほぼ笹。深南部といえば笹の風景。
初体験なだけに、わくわく!だったけれども......


少し行くと、奥に目指すべき鎌薙が現れた。下調べはあまりしていないので、実際どの程度なのかはわからない。そのため、前回の青薙の教訓により、晴れの日でなければ決行はできなかった。見えるうちにオブザベは必須。であれ行けんのか?


黒法師岳への登りは、後ろにずっとバラ谷が見えており、テントがまだ張られていた。あの人はどこか行ってるのかな?後から連絡がついて、丸盆岳までピストンしたようだ。なお、寸又峡の崩落箇所もこの金土日で撤去していたらしい。観光客は通行止めだが、一応通れたらしく、そこから上がってきた人もいたらしい。コアな深南部ネットワークありがたや。

そうそう、ここの登りは踏み跡はしっかりしているものの、笹の丈が身長を超えてきて私はもう笹漕ぎ...というか笹の下をくぐっていた。ただ上がればいいだけなんだが、思いの外傾斜きつかった。みんな歩いているからといって、侮れない。さすが深南部。

分岐まで上がると、さらに展望もよくこの連休に来てよかったー!とほんとに思った。大体予定タイムだけど、疲れたので笹藪の山頂でご飯。あれだよ、朝美味しくなくて食べきれなかったアルファ米の残りをだ。なんかべちゃべちゃになってて気持ち悪かったけど軽量化のために喉の奥に押し込んだ。しかし不思議なことに、この後は普通に美味しく感じられた。でもやっぱり尾西が好き。

山頂は確かに1人用のテントならなんとか張れるスペースはあった。そんなスペースでも、あるだけありがたいよね。


バラ谷を降りてすぐに失敗に気付いた。それからもう諦めてここまで登ってきたのだけど、笹藪の朝露で太ももあたりまでビシャビシャ。まぁ陽も差してるし、乾かしながら歩くか、と安易な考えでいた。そんな自分を叱りたい。この後さらに酷くなるとも知らずに......


ここから暫く降り、等高尾根との分岐まで。
もう靴の中までビシャビシャで耐え難かったので、靴下脱いで絞ってスイムタオル(このタオル神だった)で吸い取ったら、まぁ少し湿ってるくらいに落ち着いた。朝露と笹藪は気をつけねば。やれるとしたら、カッパにスパッツ?あとこの後思い知ることになったけど、藪にはゴーグルも必要そうだ。目がやられる。


こっちの登高尾根というのはメジャールートなのだろうか?車じゃないと入るの大変そうなので、今回はパスした道だ。


奥に丸盆岳。その手前がカモシカ平。ここがあの有名なカモシカ平かぁ!!!ここで泊まれたらどんなに気持ち良く、なおかつ深南部の歴史を感じられるのだろうか...と想いを馳せながら、笹藪を歩き続けた。

カモシカ平はとても居心地が良く、誰も来ないし(バラ谷から誰にも会ってない)見るからに丸盆岳への登りが急そうだし、のんびりした。

そしていよいよ丸盆岳へ。ここでふと思い出した。そういえばこの景色どこかで...


振り返ったらまさにその表紙と同じ景色が広がっていた!生えている木や斜面の崩れ具合、山の重なりなど、当時からさほど変わっていないようだった。何十年も経っているであろうに、崩壊の続く深南部の割には珍しいなとも感じた。


登り切ると丸盆岳山頂。鎌薙を間近で視察し作戦を考えることにした。どうやらここで装備は崩落地モードにしておいた方が良さそうに感じた。鎌薙本体?に至るまでも少し距離がありそうで、明るい時間に千頭ダムに降りるのは現実的ではなくなった。水場は無いので、1泊分最低限の水だけ残し、余分な分は捨てた。一応持ってきたのでハーネスを履き、ロープは万が一の懸垂下降用。



丸盆岳から先は尾根沿いを行かばいいんだろうけど、結局東の斜面に逸れたり、尾根に出たり、途中でロープがあったり、人間の踏み跡を外して...いや倒木に遮られて...滑落リスクの少ないルートどりで行ったら、随所で激しい藪漕ぎに突き当たり、服の中まで全身針葉樹だらけになりました。もーほんと発狂しそうだった。ザックを下ろせる所で限界が近づきしばし途方に暮れた。藪こいでもこいでも鎌薙が遠い...笑
これはもう不動岳から下山するのは明日明るくなってからにしようと、決めた瞬間でもあった。

遥かなる 黒法師岳と
鎌薙よ 今宵はどこへ 辿り着くかな

という感じで、鎌薙怖いとか、迂回したとか、そういってる大多数の人たちは、ここ通ってるんだよね!?もっといいルートある!?ここに関しては誰も何も言ってないってことは、鎌薙が相当悪いんだろうか。
なるべく尾根沿いに歩きたくて滑落しそうなところは藪に逃げたらこうなってしまったんだが...みんなどこ歩いてる?経験者詳しく教えてほしい。


1時間半ほど歩いて...藪にまみれて、やっとの思いで鎌薙に到着。こんなかかるなんて、自分でもびっくり。てゆうかテントとか水とか食料とか4日分持ってきててなんか重いんだわ!

鎌薙への入り口は、笹藪の下にロープが垂れている。それを使うと怖そうなので、降りられそうな箇所から降り立つことにした。木の根っこがあったから、足が届いた。

ルーファイした通りに進んでみることにした。途中で左の斜面にトラバースして木の生えている方に抜ける作戦だ。想定通り通過できた。鎌薙自体はなんと5分くらいだった。今までの長さたるや!!!

難易度としては、南嶺の青薙崩落地のが遥かに嫌だった。青薙の方は、両斜面切れ落ちていて落ちたらまず助かりそうに無いし、フィックスロープを頼るしか通過する手段はなかった。リスクはかなり大きいし、ほんとに怖かったのはたった3歩分とはいえ、土はボロボロ、最悪だった。青薙行った時は暫く晴れ続きだったのだ、地面が乾燥していて崩れやすかったのかもしれない。その点今回は雨の後だったので、多少歩きやすかったのかな?ちなみに、左岸林道のお立ち台より先よりも、全然歩きやすかった。感覚は人それぞれ。真相はわからない。



鎌薙に入って斜面をトラバースしてるあたりから。奥が丸盆岳方面。最後ちょっとアルパイン的な感じで慎重に上がれば、あとは歩くだけだった。下山してから藪山讃歌とかをちゃんと読んだら、ルートどりはこれで良かったようだ。


鎌薙岳の先に、大変気持ちよさそうな笹の台座のような景色が見えていた。私はもうそこで泊まることに決めた。みるからに気持ちよさそうなんだ。でも、なぜか見えなくなったから、天空に浮かぶ笹原の台座という、幻覚だったのかなとも思えてきた。こりゃいよいよだな。


無心で笹を進む。夏はやだなぁ〜このタイミングで行って良かったなぁ〜と思った。


やっぱりあった!天空に浮かぶ笹台座!!


鹿の平というらしい。まぁ、夜テント張った近くをどすんどすん音がしてたので、鹿が走り回っていたのだろう。おかげで、テント越しに月明かりに照らされた鹿のシルエットに囲まれるという夢を見て、ほとんど寝られなかった。たぶん夢...


なかなか開けた場所の割には笹の丈が高くてテント張れる場所は限られていて、メインぽいとこにはザックがひとつ置いてあった。誰かが不動岳をピストンしているのだろうか。クマ鈴と地図を持って探索することにした。西側に1張りのスペースを発見。ザックを置いた場所まで戻り、コンパス頼りにテントスペースまで帰ってきた。



雨降ったらぬた場になりそうな雰囲気もあったけど、夕陽を見ながら明日の作戦を練った。
しかし、標高2000超えていて、案の定朝方は寒くてテントも凍っていた。もうシュラフ使わないと寒い。動物に囲まれたり激突されたりする夢をずっと見てほとんど寝られないまま明け方になった。明日は、どれくらいかかるか全く読めない上に、渡渉付近がよくわからないので万全な状態でゆっくり出発して明るいうちにお立ち台付近まで下山することにした。想像以上にガスの減りが早くて大無間までは持ちそうに無いし、なにより標高下げないと寒くてお湯がないとだめだ。ルートと装備的に今回は無理だった。しかしこの稜線は歩きたかったな。

ご飯食べて、ずっと電波入らないしやることないからダウンロードしてたミステリーアニメを見て就寝。


***** 3日目 *****

テントが凍っていて全然片す気になれなくて日が昇り切るまでゆっくりした。1人不動岳へ御来光ピストンしたようで、テント片してたらもう1人降りてきた。どっから人が湧いてきたのか。

寒くてテントから顔だけ出して撮った日の出。

テント張った場所からいきなり笹藪。不動岳の尾根へも笹が高く、山頂へは尾根伝いに登った。山頂の少し手前で振り返ると深南部の山々や千頭ダム、中央アルプス、遠くに微かに町っぽいものも見えた。試したけど、もちろん電波(docomo)は入らなかった。7月の諸沢山周辺の尾根では一瞬入ったが、ここは全くダメだった。そういえば聖岳もどっかから見えた。

山頂への尾根はとても気持ちが良かった。
だいたいコースタイムで山頂まで登り切れたので、道を間違えなければ今日中にダム方面までは行けそうだ。

不動岳山頂

こっちも山頂の標識。目の前が黒沢山。ここから右側に稜線が繋がっている。奥に中央アルプス。

手前の稜線、左から中ノ尾根山。中央少し左に奥にぽこっと出ているのが、鶏冠山。池口岳南峰、北峰、加加森山と続き、手前に合地山、右奥のガレてるのが光岳。



とまぁ、山頂からは深南部の大展望が広がっていた。なんて素晴らしいんだ!!7月の左岸林道で行けなかった稜線や山々を実際に見ることができて、その懐の大きさを感じた。

車だと戸中川方面のゲートがあるようで、日帰りで来られるらしい。まぁここの山域を歩く人の体力はたぶん計り知れないから日帰りといっても楽ではないだろうけど...不動岳は下山してから調べてみたけど、深南部の中では展望はかなり良い方らしい。最高に天気のいい時に来られて、よかったぁー!めちゃくちゃ遠いけど、また来たい。また来たい山ベスト上位にランクイン!

思う存分満喫して、いざダム方面へ下降!

基本的には尾根伝いで、分岐を見逃さずにジオグラフィカとコンパスでどんどんと下った。道は笹藪が大半で、たまに歩きやすい痩せ尾根のような感じ。コンパスで行く方面に合わせてどんどん高度を下げていった。

※地形図とかの詳細ルートは、新しい地形図買ったら書き加えて載せることにする。深南部はやっぱり最新の紙地図がかっこいいよな。

前黒法師とかこれまで歩いた山が見えた。

途中から笹藪は杉林になる。地図通りに行くと最後の沢への斜面の下降は、どこ降りるの!?と少し思ったけど、少しなだらかな箇所を狙った。渡れない箇所に降りてしまったら最悪だからね。沢の一段上まで降りてきて、最後はガレガレの斜面を駆け降りた。流れはまぁまぁ早かったけど水量は浅く、膝下だったのでサンダルに履き替えて渡渉した。

上西河内の渡渉地点。こんな感じ。渡渉後はどうやら尾根を上がるらしく、その尾根の末端へ渡渉するとここになった。ここで水を汲んで...と言っても、水の荷揚げをしたくなかったので、暗くなってもいいから今日中に下山しようと思っていたから1リッターだけ汲んで行くことにした。寸又峡の自販機頼りの作戦だ。結果的にはこの作戦は成功だった。


これから登るべき尾根はどうやらここらしい。いや、どう見渡してもここしかない。地図を見てもどうしてもここしかない。登り方を間違えると途中で大変なことをなりそうな予感がしたので、上がれそうな場所を探ったら、右の方だと予想。上の写真の右の方から入ってみた。少し上ると土に埋もれかけた赤テープが見えたのでどうやら人の痕跡はあるらしい。

ルート取としては、尾根の末端を右から入って、左上にトラバースし、尾根の向こう側に行く手前で右に折り返して直上したという感じ。下部から中間部は足場は狭く崩れ、細い木の根っ子を掴んで斜面から落ちないように進んだ感じ。徐々に高度が上がってくると、それなりに絶対に落ちられないという怖さが出てきた。途中でストックが残置されていたので、一瞬貰ってこうとしたけど、斜面が凄まじすぎて四つん這いで地面にしがみついていたので、もらってく余裕なんてなかった。人間の痕跡として、あそこにあってもいいんではないかな。これもまた文化のひとつ。

そこを通過したら多少は滑落の危険性は減り、急斜面を木を掴みながら無心で頂点を目指すと、天地のコルに到着した。1時間かかった。

えげつなく沢の高巻きのような尾根だった。下るなら100%ロープで懸垂したいから、ここは登るより下る方が安全なのではないだろうか......

写真なんて撮る余裕は皆無だったので、2度とここは登らないと誓うことだけ覚えとく。

コルからは地図通りに進んで斜面をかけ降りて、途中でロープが張ってあったりしたけど、踏み跡も集中してきたので他よりははっきりし、難なく通過して天地第一吊橋に到着。渡れるのか問題もあったが、なんとか渡れた。怖すぎてもう渡りたくないけど..



木の渡しがバキバキ折れそうな音をさせていた。抜け落ちてたところあったし。


ここら辺には天地第一〜三があるようだが、現在渡れる橋はここだけ。地形図の道になってるところを行っても渡れる橋には辿り着かない。現在使える橋かどうかの下調べが重要だ。

今後いつまでこの橋が使えるのかは不明。ワイヤーはしっかりしていそうだったけど、木の板がよく乗っかってるなぁって感じ。いずれにしても、早いに超したことはない。今こうやって貴重な橋を渡れたことが嬉しい。

さて橋を渡り、今回の旅も終盤。千頭ダムへは行かず、そのまま左岸林道に上がることにした。


光岳大無間方面という看板を上がる。あまり歩く人がいないのか、歩きづらかった。


そんで、ここに出るのだね。ここからは歩きやすい道です。千頭ダムから日向林道に上がる道。7月の左岸林道の帰りに通った道だ。


日向林道に出た。なんだか登りがしんどくて、もう登りたくない!ということで、すぐの分岐を直登せずに、くねくね道の日向林道を行くことにした。吉と出るか凶と出るか...

結果は五分五分ではないだろうか。でもたぶん直登した方がよかった気もする。歩きやすい林道かと思いきや、かなり荒れている。
この先の日向林道のような崩れ具合だった。もー、なんてゆうか崩落林道は歩くの疲れるよ。最初の大きく南に折れる箇所で沢水が汲めた。実は昨日から節水をしており、ここで思う存分飲んだ。

続くよ続くよ長い長い日向林道のくねくね。やっとの思いでお立ち台の少し下、左岸林道に出た。


まだ明るいのはいいことだが、ここから寸又峡温泉へは何時間かかかる。20時過ぎには下山できるかなぁ〜なんて思いながら、もう一晩越す分の水がないのでとにかく歩くことにした。ああ、もちろん大無間越えは今回はタイムアップ。と、ガスがほとんど残ってないので寒さに耐えきれそうにないため諦めた。

水をどこかで汲めれば、どこかで1泊してこうかとも考えだした。それはもう水があるかの運次第。と、最初の南に折れるカーブ、日向沢との出会い1066の地点で水場が現れた。

日向林道の出合いから30分くらいだった。

もう大きな崩落もないであろう平坦な林道を歩くだけなので5リッター汲んだ。そういえば前回休憩した、おはぎりぼつとかいう場所が良さそうだと思い出し、撮っていた写真の位置情報から場所の目星をつけ、そこに泊まることにした。そうなれば、急ぐ。更に30分くらい歩くと、なんとか明るいうちに到着した。

さてここなら落石も崩落の心配も少なそうだし一晩過ごせそうだ。小石どかしたり整地してテントを張ってると、山側でガサガサと動物の気配がした。鹿かな?と思ってしばらく黙ってみてたら、50mくらい離れた所から何かが出てきた。サル?と思ったけど、サルにしてはガタイが良くて、色も黒い。どうやら子熊だったようだ。てことは親熊は?と、暫く凍りついて見ていたけど、出てくる様子はなく、子熊は林道を横切って下の斜面に降りていった。

スマホからアニメの音量をマックスにして流しながらテントを張り終え、荷物を中に入れて、自分も中に入った。まぁ怖かったけど、ここから下山しても暗闇で動物と衝突するリスクもあるため予定通りここで過ごすことにした。まぁ怖かった。てゆうか全く電波が入らないので、次の日1日仕事を休みにしていてよかったと思った。

鹿がテントに突進してくる、熊がテントを破ってくる、そんな恐怖を感じながら...ぐっすり朝まで寝た。いやなんでこんな怖い思いしなきゃいけないんだよぉ〜!!!


*****4日目*****

子熊いるし暗い時間に歩くのは嫌なので、今日も明るくなってから出発することにした。帰りのバスの時間もあるため、6時に出発、8時半に下山、温泉入って、10時のバスによる予定だ。果たして朝からやってる日帰り温泉って、あるのか!?


こっちは西面なので日の出は今日も拝めない。まぁこれが深南部らしさでもある。

あとはただひたすらに歩くだけ。
多少の崩落はあっても、ただ歩くだけだ。
なお、今回はなぜか動物が多くて、落石が怖いのでヘルメットだけはした。


かつての林業の痕跡も左岸林道らしさ。
明るい時間にゆっくり見ながら歩くのも、それはそれで面白い。



朝日岳登山口も通過し、橋も渡り、公園に着いてターザンロープで遊んで、めでたく寸又峡温泉に帰還した。平和そのものだった。


さっそく第一下界人間を発見し、教えてもらった場所に行ったがまだやってなかった。そこの旅館の人に聞いた場所に行ってみたが、誰もいなくて定休日だった。そこから思い当たる旅館に電話したら、今週はお休みだった。その人に聞いた旅館に電話したら、なんと9時半までなら入れるとのこと!山から降りてきてどこも開いてなくてうにゃうにゃ...と頼んだからなのか、日帰り入浴の前の清掃時間の前までならとのことだった。
急いで向かい無事温泉に浸かった。


床が滑りやすいって書いてあったけど、下山して安心したのか2回も転んでお尻にあざができた。今回の山で1番転んだ。これにて下山完了。ここの旅館にはほんとに感謝の気持ちでいっぱいです。立派な旅館で、目の前がバス停でした。

寸又峡温泉は大体歩き回ったので全貌を把握したような。次回は公園で滑り台をやりたいと思う。

ここからは、バスで千頭駅まで、そこからバスを乗り継いで家山駅まで、家山駅からは大井川鐵道で金谷駅まで。なお、千頭駅のバス停の前の商店でお惣菜を売っていたので、カツを購入。次回はここで買い溜めして帰ろうと思う。



今回は待ちに待った連休山行だった。気になっていた鎌薙に、公共交通機関で1番入りやすそうな水窪駅から、せっかくだから不動岳も踏みたくて、1番下山が近そうな寸又峡に下りるコースを設定した。本と地形図と山レコの軌跡(オレンジ色の点線))を見比べて、抜けられそうなルート取り。1番わからなかったのが、やはり最後の上西河内周辺。現場でも1番苦労し、明るい時間に地形を見ながら進めたが、暗かったら絶望的だったかもしれない。樹林帯では17時にはもう暗くなり始め、18時には真っ暗だ。一般登山とは言い難いが、一応歩ける登山のジャンルの中では、過去最高に攻めきった4日間だったことは間違いない。

着実に深南部も冬に向かっている。そんなわくわくを心に秘め、次の山行の計画を立てよう。

しっかし今回も良い山行ったなぁ〜!!


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