2025-08-07

塩見岳〜分杭峠

 鳥倉から塩見岳を歩く予定があって、それだけだと勿体無いので分杭峠まで行ってみた。という経緯でこうなりました。

色々繋げたい尾根はあったんだけど、日程的に1番短かい分杭峠をチョイスした。


日程 : 2025/6/26〜27 1泊2日

行程 : 鳥倉ゲート〜塩見岳〜分杭峠

1日目 6/26

曇りのち昼過ぎから雨風強く一時雷

鳥倉ゲート12:00---三伏峠15:30---本谷山16:50---塩見小屋18:00(泊)


2日目 6/27

風強く濃霧のち曇り、晴れ

塩見小屋3:30---塩見岳4:40.50---本谷山少し手前7:30---小黒山9:20.35---樺山11:00---入山12:30.40---笹山13:30---天空の池14:00.15---二児山西峰15:20---葉沢反射板ピーク17:00.10---入野谷山18:00---分杭峠18:40


予定では26の夜中に伊那から高遠まで歩いてバスで分杭峠へ、27に鳥倉へ抜けて28の朝までに歌舞伎の里まで降りてバスで伊那大島駅へ、電車で飯田駅へ、歩いて10分のローソンに10時の待ち合わせに合流する予定だった。よっしゃー!と思って山の師匠に報告したら、ちょうど飯田にいるとのことでお助けしていただけることに...いつもいつも本当に感謝しかない。


ありがたく松川インターで合流し、分杭峠からじゃ明日までに辿り着かなくない?ってなり師匠の助言を受けて下調べゼロの逆ルートにした。変わることは、泊まる場所だ。元々の予定だと笹山の休憩小屋だった。その後は藪になるし今回はツエルトだけで行った。逆になると、恐らく塩見小屋が妥当。知ってる人だから大丈夫だと言うけど不安はよぎる。

結果から記すと、塩見小屋はこの時ちょうど小屋開けの準備で冬期スペース開放を停止していたようだった。ホームページは見たけど、最新のページじゃないものを見ていたようだった。本当は使えません。本当は...



さて旅は始まり、鳥倉ゲートまで送っていただき、明日の日が暮れる頃に分杭峠に行く約束をした。明日の夜はくら寿司のちいかわフェアに行くからそれまでに降りてきて、とのことだった。明日の本谷山からずっとちいかわが頭をちらちらするとはこの時は思いもしていなかった。もう、ずっとちいかわだった。

"焼けたパンにバタァぬりぬりぃ〜...ひとりっごつぅ〜"



駐車場には車4台。三伏峠までに全員すれ違った。コルのあたりで雷雨になり、三伏峠小屋まで激しい雨と雷。こんな雨ほんとに久々ってくらいのゲリラだった。身も心も削られるほどヤワなわけはなく、雷の止んだ頃に森林限界付近へ。とにかく寒かった。


景色抜群のはずの三伏山は真っ白で寒かった。


土砂降りの中かろうじて塩見岳の裾が見えた。


稜線は風強く雨強し。雷止んだだけマシだ。


実は今回、塩見岳には下見で来たんだけど、何も見えず何も下見になってるのか全く不明で、もう自分の命の方が大事になってとにかく塩見小屋を目指して歩みを進めた。寒かった記憶しかない。師匠は6時間でいけるって言ってたので、これはもう6時間で着けるくらいじゃないとってことだと思ってこの天気でも頑張った。

小屋番さんがいるかわからずだったけど、着いたらどうやら明かりがついているので、いるらしい。しかし...ヘリの荷上げがあるから冬期スペースは開放していないとのことだった。(おい師匠!師匠の満面の笑みがちらほら浮かび上がった)...ちーん...少し戻ってツエルト張るしかないと思ったけど、ご厚意で使わせていただけることになった。後日、カステラを持って改めてお礼に行きまして、師匠の弟子でして、あの後予定通り分杭峠まで行けまして感謝しています、と話したら、あーそんな人いたなぁ〜と話してくれて状況的に激おこでもおかしくなかったけど、人の良さを心の底から感じた。塩見岳が、また一層好きになった。


ありがたく使わせていただき、濡れた服...寒すぎて長袖も着たので全着替えで上着を羽織って暖をとった。迷惑をかけないように早朝出発することを約束し、ぐっすり眠った。



翌朝、塩見岳へ。浮かび上がるイワベンケイ。一生片想いのイワベンケイさま。山頂付近は高山植物が綺麗に咲いていた。


塩見岳山頂5時前。思ってたんとちゃう。なんも見えないじゃんか!爆風の中、今にも走り出しそうなポーズで記念撮影。もちろん誰もいない。今日の行程は長いので山頂を楽しむ余裕などなく即下山。途中に置いてきたストックとザックを回収して本谷山方面へ戻る。


塩見岳から本谷山へ向かい、本谷山の少し手前の斜面から入ることにした。昨日ここを通過した際に視界が晴れたので尾根へ合流しやすそうな地点を見つけていた。本谷山はハイマツに閉ざされているので、ダケカンバ帯のここら辺から入ることにした。割と正解だと思うんだけど、どうなのかな?水1リッターデポしていたので回収し、出発。

視界が全くないので地図とコンパスに頼るしかなかったけど、大きな尾根に合流するまでが割とだった。何がって、地形図に載らない小刻みな地形が多くて視界がないとそれが尾根かどうか確信は持てなかった。その先に崖がない限りひたすらコンパスの指す方向に進み続けた。なお、踏み跡多少はあったけど人なのか獣なのかは若干怪しいところだ。踏み跡を頼って進んで無数に散らばる獣道に導かれてしまったことは過去何度かある。その経験から、踏み跡は信じないことにしている。


こんな感じの森を気持ちよく進みます。
ええ、とても爽快そのものでした。
トレランシューズは沢登り並みに臭くなり、翌日人様のお家でありがたく手洗いさせていただきました。それほど、山にまみれて心の底から幸せ。


こんな感じ。こーゆう山歩きが好きなんだよなーって1人で語り合いながら(誰とは聞かないで。)満たされてゆく心の温度を感じつつ(気温が上がっただけじゃないから。)とにかくひたすらコンパスを向け続けて進む。たまに地図を見ると、びっくりするくらい自分がまだ分杭峠へ程遠い地点にいることを知り、若干の絶望感が漂い始める。こんなに頑張ってるのに先が長すぎてちいかわが怪しくなってきた。


ここを降ったけど登りたくはない。全体で見たら下りなんだけど、なんだかんだアップダウンのある尾根だったので、藪歩きルーファイ込みで北上も南下も大した時間変わらないのでは?と思ったりもしたが、逆ルートの5時間って全く参考にならないなぁってこの類の山域の人たちの異常さを改めて痛感した。GWもそうだったけど、今回もこの界隈の自分の体力のなさを思い知った。強い人しかおらんこの世界。


尾根がはっきりしてきて歩きやすくなり、と共に、これ以上藪とか出てきたら今日中には着かないなと本気で思えてきた。そんな頃に樺山に到着。ほんとに遠い。この看板の人たちと友達になりたいって思いながら藪山の空気にめいっぱいの幸せを感じた。



晴れてきたので苔も綺麗。変な崖みたいなところを降りてる時に見つけた苔だから、よく覚えてる。


視界が開けたーー!!!!!
なにこの爽快感。
多分この景色独り占め。
独占配信まっしぐら!
こういうタイミングで1人ライブをするんだけども、万が一にも人が現れたらめちゃくちゃ恥ずかしいよね。だからなんでもできるように練習しとこ。


遥か遠くにあった念願の入山に到着。もう少し巻けると思っていたがために、時間かかりすぎて絶望感しかなかった。この先も藪があるのだろうかと思ったけど、どうやらこの下りで落ち着いたようだった。師匠に、もう着かないかもしれないと連絡する余裕もなく歩き続けたのにだ...笑


気持ち良い笹原が広がった。笹の丈は低く、歩きやすかった。



やっとのことで笹山に到着。ほんと、笹。

少し先に小屋があった。本来昨日泊まろうとしていた小屋だ。快適そうだったので、今後も使えるように維持できたらいいな。水場は、この先のもうひとつの小屋の側に流れる水かな。それ以外、水は全くなかった。

林道という雰囲気の車幅。


天空の池到着。
ここも来たかったんだよなぁ〜
気持ちよくてひと呼吸ついた。

二児山はハイキングルートと書かれていたけど、普通のハイキングルートではなくて、一般登山道よりも歩きにくく(何か間違えた?)、色々疑った。時間がなかったので2つピークは踏めず、一人っ子。
ひたすら北上することにした。

この斜面に鹿が100以上はいて、大音量でアニメ流して歌いながら歩いてたら一気に散ってしまった。こういう山を歩くときはいつも騒がしくしてるんです。動物さまたちとの共存のために。でもこれだけ鹿がいると、やっぱり笹があんだけ低いわけだ。
道は踏み跡があるけどない箇所もあって、基本的にはコンパスで歩いていた。1箇所直角に曲がるところがあったような気がする。ちいかわに追われてとにかく歩き続けた。こんなに必死に歩き続けたのは初めてかもしれない。

待て、かなり長いぞこの先も!と地図を見るたびに思い、なんとか時間の読める反射板まで到着。ここで、師匠に到着時間を連絡して後はひたすら走る。

ここぞ本当のハイキングルートのようで、道は鮮明で走りやすくなってきた。中央アルプスも綺麗に見えるようだ。この日は雲の中。それでも、なんだか神秘的な風景に癒されて優雅に歩いた。


今回の相棒たちと最後の山、入野谷山。これは本当のハイキングだ。最後はとても快適。全速力でダッシュした。...なんでこんなに元気なんだ?やっぱりゼロ磁場近いからか?体が軽くなるから?んなわけなかろうがぁ。いや私はそのパワー、信じてるよ。

最後ゲートを開け閉めして林道へ飛び出た。
熊には結局逢わなかったけど、いるところにはいるのだよ。あるところにはあるのだな。(猫猫風)わかる人いる?あの場面だよ!あーら猫猫いつの間に?

分杭峠に到着!
密かにずっと来てみたかった場所。
地球の偉大さと共にパワーを得たような気がした。

師匠がゲートで待っていてくれた。どうやら私、満面の笑みで山から戻ってきたようで。笑

何よりも約束した時間までに下山できてホッと。ひたすらコンパスの方向に進み続け果てしなく続く尾根、倒木、そんでもって全然進まない不思議な山。

ここから飯田のお風呂へ直行し、師匠と奥さんのちいかわ目当てでお寿司を食べに行った。
最高やないかいこのシチュエーション。

こんな感じで、地形図でまたひとつ魅力的な地形を歩き通せたことに満足感であります。
やっぱり、見えない未知の空間へ足を踏み入れる瞬間は極上のご褒美。人生に一度しかない瞬間。
また次も地図を眺めて行きたい場所を選ぼうかな。

もう計画はありますので次回もお楽しみにします!












2025-05-19

クラシックルートで大無間山③(寸又峡温泉〜左岸林道〜大樽沢登山口〜大無間山〜小無間山〜卯山〜井川小中学校)

3日目。

どちらかというと眠れぬ夜を過ごし...
唯一の救いは、朝晩はアルファ米と味噌汁なのに、全く飽きずに完食できているということと、昼の行動食もほぼ全て食べ切っているということだ。色々試してみたものの、尾西のアルファ米が一番美味しい。数年ぶりに白米50食箱買いしたので暫くは安泰。


テントを張った三方窪から三方嶺に向かって左側に進むとテープがあり、どうやらこちら側の尾根で登っているらしい。2つくらい向こうの尾根。傾斜も緩い。朝日岳と合流してからは所々に人の痕跡が見られるようになった。
少し登ると視界が開け、なんとも気持ちの良さそうなテンバが数箇所あった。


大井川鐵道看板。なんで大井川鐵道なの?
昭和の名残かな?

→同じルートを30年以上前に歩いたという知り合いクライマーの話によると、どうやら大井川鐵道会社の山岳部がつけた標識らしい。色々感慨深い。


風イラズとかそっち方面を眺めつつ、大無間山から尾盛駅に下りたい気持ちをぐっと堪える。


稜線は気持ちが良く、日中は穏やかな気候だった。


笹と崩落。深南部の稜線は笹であることが多いらしい。今回のルートの笹は丈が短いので朝露がひどい時期でも被害は少なそうだ。黒法師〜不動岳の笹は丈が高くてびしょ濡れだったので、笹の分布も面白いもんだ。


三方嶺。ちゃんとした看板は見つけられなかったけど、展望が最高だった。


たぶんこれが看板。こういうのが残っているのもまた、オツなもの。


身を乗り出すと、こんな感じ。綺麗な崩壊斜面です。うわうわな悲鳴が止まりませんでした!未だに誰にも会いません。恥なんてありません。昨日からずっと悲鳴のなりっぱなしです。


右端の雪がついてるのが光岳だぁ!
テンションだだあがり。あげあげ!!
右手前が大根沢山。


左に行きまして、奥に池口岳から続きます。


はぁ〜深南部の山々しか見えませんねぇ。こんな至福他にあるでしょうか。幸せを全身で噛み締めてこの晴天の深南部の山々を有難く拝みます!


ぼちぼち歩いていたらぽっと凍った水たまりが現れた。幻想的!絶対に三隅池だ!ちなみに、初日に寸又峡温泉から入山する際地元の方に、今日は三隅池あたりまで行くのか?と聞かれた。いや、無理だって14時に寸又峡出てその日のうちにここは、絶対無理だって!笑
でも、大樽沢から大無間で井川に降りるって話したら分かってくれて、今の左岸林道はどうなっているんだろうと気にしていた。昔はどうだったのか、ちゃんと聞けばよかった。


奥に上河内とか聖とかそっち方面。

大無間手前のコル付近で1人会った。彼は、田代から周回のようだ。大根沢山行くのかーいいなーと思ったけど、この時すごい疲れててまともに会話ができなかった。すごい早くに出てきたんだろうなと思うと、お互いお疲れ様って感じ。


ここでようやく大無間山の看板が現れる。


山頂手前のなだらかな尾根に行きつくと辺り一面残雪。まだ朝だったからか踏み抜きもなかったし締まってて歩きやすかった。開けた気持ちのいい場所


大無間山到着!
長かった。いやほんとに長かった。
昨日大樽沢登山口を、一昨日寸又峡温泉を出てからの行程を思い返すだけで、あぁ長かった、と。
歴史を感じる大無間行脚をしっかりと遂行できたことに満足しつつ、しばらく山頂でゆっくりする。
早く歩くことはもちろん大事だけど、山でのゆったりとした時間も楽しみたい。記録を見ると、各所で休憩時間がやけに長い。だから、朝イチで寸又峡温泉を出てたら1泊2日の行程なんだろうなとふと思う。車とタクシーを使えば土日の2日間でやれないことはないルートなんだと思うが、旅は道連れ世は情け。タクシー使ったらその道中の楽しみが減ってしまいかねない。歌って踊って1人コンサートしながら動物との会話を試みたりもしているのだから。

山頂でゆっくりしてたら、1人現れた。山を楽しんでいるふうな人だった。彼は風イラズから入って卯山から接岨峡温泉へ下りるらしい。日帰りでそれって、さすが深南部で会う人だと思った。レモン輪切りにしてティーしてたので、今度マネしたい。

その後男女のペアが上がってきた。すごい!さすが大無間山!めっちゃ人いる(4人)!さすがGW!

電波がわずかに入ったので天気を見てみると、どうやら明日は夜明け前から雨らしい。昼過ぎまで持つと思ったけど、だめかぁ〜もう1泊予定だったけど、小無間山から先もどんな道か全くわからないので、今日中に下りることにした。さて明るいうちに下山は...できないと思うので最後の直線尾根まで間に合うように目指した。

夜明け前の雨音。響きはいいけど嬉しくはない。
いやでもなんか憧れる詩的な感じしない?


白い南ア主脈。この時期の特権だ。


大無間を振り返る。
長いってあの山!


ずーっと向こうの方から来たかと思うと、長いって!大無間とはよくついた名前だ。
さすが深南部の王者!

中無間山の手前で1人会う。彼は田代から日帰りでピストンとのことだった。立ち長話になり、楽しい時間を過ごさせてもらった。楽しい人なんだろうな〜と思った。しかし強いよみんな!!

一期一会かもしれないけど、深南部で会った人ってそんなに多くないからレア。


小無間山。ここまではとても歩きやすい道。


井川って出てきた!

それでは、お楽しみ小無間の崩壊地へ!
そう、青薙山の崩壊地を通過してから崩壊地に興味が湧き出し、鎌薙へも行った。では小無間もゆかねば!という流れなのです。


上から見た図。ザックが重いので崩壊地までの下りがキツかった。


下から見た図。左下にロープが張ってある。劣化したロープはそのままで、何本も足されているので、引っかかりそうだった。確かに落ちたら危ないかもしれないけど、そんなに危機感はなかった。

さてこれまでの3か所の難易度をまとめておこう。
題して!勝手に南アルプス崩壊地ランキング⭐︎
※責任は負いません、知りません、誰向けでもありません、自分の記録です。

じゃらじゃらじゃらじゃら〜第3位は!
おめでとうございます。今回の小無間山です。
入門編ではないでしょうか。

第2位は!
鎌薙です。ボロいアルパインみたいで楽しかった。思っていたより地面が固く、拍子抜けしたが思っていたより安全。
なお、比較対象は次のヤツです。

そして栄えある第1位は!!!
青薙北上です。崩れるというか、崩しながら登った、もう二度と行きたくない場所ナンバーワン。両側とも落ちたらまず復帰は厳しいし、エスケープもできないし水場に戻るのも1日かかるし...今なら何も思わずに通過できるんだろうか?記録は白根南嶺南部編にあります。


小無間山崩壊地の側壁。奥に南アルプス主峰が見えてロケーション抜群。あの岩登るには命懸け。

この後小無間山小屋まで下りるだけだと思っていたら、ピークがいくつかあって全然小屋に着かない。そういえばp1p2p3とか書いてあったな...とアップダウンを繰り返した。流石にもう疲れてきて、コナン爆音で爆発!銃撃戦!バーン!ドッカーン!ババババババ!!!!みたいなシーンで1人に抜かれた。うるさくてすいません。最近流行りのライトパック的な感じの人で、藪ですぐに破いてしまいそうで手をつけていない分野だ。ふくらはぎがすごい太かった。やっぱ深南部って、強い人しかいない。たぶん自分が最弱。毎回思い知らされる。


小無間小屋は中から鍵がかけられていて、窓からしか入れなかった。そういう造りなんだろう。
ここら辺で泊まる予定だったが、まだ時間はあるし雨に降られたくないので下山しきることに。少し先に気持ちの良い広場があったのでそこで荷物のパッキングと食べられるものを食べたりアルファ米に水入れたりした。

小屋の少し先、ロープが張られているところをくぐって南西の尾根に入る。


下山途中、大無間山塊を振り返る。アカヤシオが満開だった。ぽあぽあしていて可愛らしいピンク色。でも足はガタガタだし、暮れ始めてきたし、全然愛でてる余裕はなかった。花見しながらここら辺でテント張りたかった。

「焦りこそ最大のトラップ」陣平ちゃん...
はい、熊よけBGMでコナン聴きすぎです。


やっと卯山に着いた。
この辺りは斜面トラバースする方に踏み跡と軌跡が付いていたが、歩きづらそうだったので基本尾根伝いに進んだ。尾根を歩いてりゃ迷うこともない。


顕著な広い尾根。井川から卯山まではテープが多く、よく踏まれている印象。帰りのバスのドライバーさんに聞いたら、どうやら地元の何かの訓練で使うことがあるらしい。なるほど、さすがクラシックな卯山だ(主観)。


日が暮れ始める。ここの少し先でわかりやすい尾根1本になるので、明るいうちに目標地点までついたことにひとまず安心。写真では切れているけどこの右奥の方に田代のキャンプ場の灯りが見えた。あっち行きたい。キャンプしたいしお風呂入りたい。
最後まで我慢を強いられ、中学校へ下る。
大樽沢から入ることなんてもう無いだろうから、こればかりは妥協できない計画だった。

最後は井川地区の明かりを見ながら下っていく。


やった!あと少しだ!


井川小中学校到着です!
これにて、自分的大無間クラシックルート踏破完了です!幾度の誘惑(登る前に寸又峡温泉入りたい。接岨峡温泉、田代で温泉入りたい。尾盛駅へ行きたい。もっと寝たい。)にも打ち勝ち揺るぎなくクラシックを求め続けた自分を、この日だけは褒めた。

でもごめんなさい、道がよくわからなくて裏から覗いてしまいました。夜にヘッテン付けて歩き回ってるなんて、完全に不審者なのですぐに撤退。


ここに出ました。
さてこの後どうしましょう。とりあえず井川地区を散策することにして、看板にあるビジターセンターに行ったものの、真っ暗で何もなかった。泊まれそうな宿も見当たらない(遅いんだからそりゃそうだ)。


自販機があったので一服することに。
ビールもお風呂も宿もコンビニも売店すら無い現状、最大限のご褒美だった。ご馳走様!

その後はどこで夜を明かそうか、彷徨って迷惑にならなそうな場所を見つけて朝を待った。結局1時間以上は井川散策をしていたようだけど、暗くてよくわからなかった。吊橋や大仏、遊覧船とかもあるようで、改めて井川には遊びに来たいと思う。

お風呂は諦め、近くにあった井川地区を自主運行バスで静岡駅まで帰ることにした。井川小中学校入口バス停から乗車。本当に来るのかなと半信半疑だったし地元の人がいっぱいいたら乗れないから井川駅まで歩こうかとも考えていた。雨の休日。一度バスが行ってしまったので慌てて出てったら戻ってきてくれた。他の乗客は誰もいなかった。木金土の朝イチのバスは割と地元の人が使うらしい。病院に行くのに乗っていくのだそうだ。
コロナの時代になってからこのバスは使っていなかったが、登山者もよく使っているようで、ドライバーさんも山が好きでよく歩いているらしい。良く思ってくれていることがわかって、嬉しかった。また来よ。


着替えだけしてバスを待ってました。持ってきた短パンは寒すぎて履けませんでした。夏が恋しいです。ドライバーさんとは、ずーっと話しながら良い時間を過ごさせてもらいました!

どこで夜を過ごしたのかは聞かないでください。
私のことです。ご想像にお任せします。


横沢でバスの乗り継ぎ。
自販機でジュース買ったら虫がたくさんついていた。自然み溢れる感じがたまらない。
横沢からは路線バスで静岡駅まで直行。

静岡駅の降車場は、駅前じゃなくていつも高島屋の前。雨が降っているのでひとまず高島屋で雨宿りすることにした。

って!!!入ってすぐにコナンプラザ開催の看板が!!!いく!!


てことで10時オープンのコナンプラザに、10時過ぎに入店。先着の缶バッジも見事入手完了。

奇跡なの!?てくらい無駄のない動きだった。


せっかく来たので静岡っぽいものを食べてこう!と思ったけど、気づいたら裏路地の定食屋さんに来ていた。焼きそばが美味しすぎ!この時間に静岡駅にいられることもレアなので、再訪はなかなか難しいかもしれないけど、時間合わせて絶対にまた来たい。心の底から、ごちそうさまでした!

ちなみにお風呂は入れませんでした。お風呂がないんです。そういえばビールも飲んだ記憶がない。
このルートの欠点は、お風呂に入るには、田代か接岨峡温泉方面に行くしかないこと。井川小中学校に下山するという目標は達成したので、次回は大井川鐵道の旅をしながら帰宅したい。

結局予備日1日は使うことなく、山中3日、前後移動含めて4日間で終えることができた。登るか働くかしか脳のない私は、有給休暇は取り下げてもらいGW明けから出社した。平凡な日常に復帰だ。

去年からの数回にわたる深南部通いで、深南部のことが徐々にわかってきた。それはもっと深い部分まで踏み込めるスタートラインに立ったとも考えられる反面、未知なる余白を埋め尽くしていることも意味する。楽しみはとっておきに取っておきたいので、自分的未開の地に足を踏み入れてみたい好奇心にも揺さぶられ始めた。

さて次はどこに行こうか。